2025.05.10

豆知識

坪単価だけじゃない!本当に「良い家」を安く建てるための秘訣を徹底解説

「マイホームを建てるなら、やっぱりコスパを重視したい!」 そう考えている方にとって、「坪単価」は家づくりの費用を測る上で、非常に重要な指標の一つですよね。

しかし、本当に「良い家」を安く建てるためには、坪単価だけを見ていては見落としてしまう大切なポイントがたくさんあります。 坪単価が安く見えても、後から追加費用がかさんだり、住み始めてから維持費が高くついたりしては、「安い家」とは言えません。

この記事では、坪単価という数字の裏に隠された「良い家」の定義と、それを賢く、そして本当に安く建てるための秘訣を徹底的に解説していきます。

第1章:坪単価の「罠」を知る

まず、家づくりの費用を語る上で欠かせない「坪単価」について、その注意点から見ていきましょう。

1.1 坪単価とは何か?

坪単価とは、建物の本体価格を延床面積(坪)で割ったものです。 例えば、本体価格が2,000万円で延床面積が40坪の家なら、坪単価は50万円となります。

この数字は、一見するとハウスメーカーや工務店を比較する上で非常に分かりやすい指標のように思えます。しかし、ここに落とし穴があります。

1.2 坪単価が安いだけでは「良い家」とは限らない理由

坪単価が安くても、それが必ずしも「良い家」に繋がらない理由はいくつかあります。

(1) 坪単価に含まれる範囲が異なる

これが最も大きな落とし穴です。ハウスメーカーや工務店によって、坪単価に含む費用と含まない費用が大きく異なります。

坪単価に含まれることが多いもの:
本体工事費(基礎工事、躯体工事、内外装工事など)

坪単価に含まれないことが多いもの(別途工事費・諸費用):
付帯工事費: 解体工事費、地盤改良工事費、外構工事費(フェンス、駐車場など)、給排水・ガス引き込み工事費、電気幹線引き込み工事費など

諸費用: 登記費用、印紙税、不動産取得税、固定資産税、住宅ローン手数料、火災保険料、設計料、監理費など

オプション費用: 標準仕様外の設備(キッチン、バス、トイレなど)、床材、壁材、太陽光発電、床暖房、空調設備、照明器具、カーテン、造作家具など

坪単価は安く提示されていても、オプション費用や別途工事費が積み重なって、最終的な総額が想像以上に高くなってしまうケースは少なくありません。

(2) 同じ延床面積でも「快適性」は異なる

坪単価を抑えるために、以下のような工夫がされている場合があります。

・窓の数を極端に減らす: 採光や風通しが悪くなり、住み心地が低下します。
・断熱材のグレードを下げる: 冷暖房効率が悪くなり、光熱費が高くつきます。
・設備のグレードが低い: 初期費用は抑えられますが、使い勝手が悪かったり、数年で修理・交換が必要になったりする可能性があります。
・複雑な間取りやデザインを避ける: シンプルな形状はコストを抑えやすいですが、一方でデザインの自由度が低くなることもあります。

初期費用が安くても、住み始めてから光熱費が高くついたり、快適性が損なわれたり、すぐに修繕が必要になったりすれば、それは「良い家」とは言えません。

(3) 建ててからの維持費も考慮すべき

家は建てて終わりではありません。住み始めてからも維持費がかかります。

・光熱費: 断熱性能が低い家は、冷暖房費がかさみます。
・修繕費: 外壁の塗り替え、屋根の葺き替えなど、10年~20年ごとに大きな修繕費用が発生します。安価な建材や設備の耐久性が低いと、修繕サイクルが早まり、かえって高くつくことがあります。
・税金: 固定資産税や都市計画税は毎年かかります。

本当に「良い家」とは、初期費用だけでなく、建ててからの維持費も含めた「トータルコスト」が安い家を指します。

第2章:本当に「良い家」を安く建てるための秘訣

坪単価の「罠」を理解した上で、ここからは本当に「良い家」を安く建てるための具体的な秘訣を解説していきます。

2.1 総額予算を明確にする

坪単価に惑わされず、まずは「家づくりにかけられる総額」を明確にすることが何よりも重要です。

・土地購入費用: 現金+住宅ローン
・建物本体工事費用: ハウスメーカーや工務店に支払う費用
・付帯工事費用: 地盤改良、外構、給排水引き込みなど
・諸費用: 税金、手数料、保険料、引っ越し費用など
・予備費: 総額の5~10%程度を見込んでおくと安心です。

これらの項目全てを含めた上で、「これ以上は出せない」という明確な予算を設定しましょう。そして、この総額予算をハウスメーカーや工務店に最初に伝えることが大切です。

2.2 性能と品質にこだわる(初期投資を惜しまない)

「安く建てる」と言っても、家の性能や品質を犠牲にしてはいけません。むしろ、ここにお金をかけることが、長期的に見て「本当に安い家」に繋がります。

(1) 高い断熱・気密性能

メリット:

・光熱費の削減: 夏は涼しく冬は暖かいので、冷暖房費を大幅に抑えられます。
・快適性の向上: 家中どこでも温度差が少なく、ヒートショックのリスクも軽減されます。
・健康的な暮らし: 結露やカビの発生を抑え、アレルギーなどのリスクを低減します。資産価値の維持: 高性能住宅は将来的な売却時にも有利になります。

具体的なポイント:

・断熱材の厚みと種類: 高性能な断熱材を隙間なく施工することが重要です。
・サッシの性能: 樹脂サッシ+Low-E複層ガラスなど、高断熱サッシを選びましょう。
・換気システム: 熱交換型換気システムなら、室内の熱を逃がさずに換気ができます。

(2) 耐久性の高い建材・設備

メリット:

・修繕費の削減: 耐久性が高ければ、外壁の塗り替えや屋根の葺き替えなどの大規模修繕のサイクルを延ばすことができます。
・安心感: 長く安心して暮らせます。

具体的なポイント:

・外壁: メンテナンスフリーに近い素材(タイル、ガルバリウム鋼板など)を検討する。
・屋根: 耐久性の高い素材(瓦、ガルバリウム鋼板など)を選ぶ。
・水回り設備: 長く使える実績のあるメーカーの製品を選び、必要以上にグレードの高いものを選ばない。

2.3 シンプルなデザインと間取り

家の形状が複雑になればなるほど、建築コストは上昇します。

(1) シンプルな外観・屋根形状

メリット:

・建築コストの削減: 外壁面積や屋根面積が減り、施工の手間も省けるため、材料費や人件費を抑えられます。
・メンテナンス費の削減: 凹凸が少ないため、将来の塗り替えや補修も楽になります。
・飽きのこないデザイン: シンプルなデザインは流行に左右されにくく、長く愛着を持って暮らせます。

具体的なポイント:

・総二階: 1階と2階の面積が同じで、外壁や基礎の面積が最小限に抑えられます。
・シンプルな屋根形状: 切妻屋根や片流れ屋根など、構造が単純な屋根はコストを抑えやすいです。

(2) 無駄のないシンプルな間取り

メリット:

・建築コストの削減: 壁やドアを減らすことで、材料費や施工費を抑えられます。
・広々とした空間: 廊下などのデッドスペースを減らし、居住空間を最大限に活用できます。
・動線の効率化: 家事動線や生活動線がシンプルになり、暮らしやすさが向上します。

具体的なポイント:

・廊下をなくす・最小限にする: リビング階段の採用などで、スペースを有効活用。
・水回りの集約: キッチン、浴室、洗面、トイレなどを近くに配置することで、配管工事費を削減。
・多目的スペースの活用: 書斎や趣味のスペースをリビングの一部に設けるなど、一つの空間を多目的に使う。

2.4 設備の選び方とグレードのメリハリ

全ての設備を最高級品にする必要はありません。賢くメリハリをつけることで、費用を抑えながらも満足度の高い住まいを実現できます。

・標準仕様を最大限に活用: ハウスメーカーや工務店が標準で提供している設備は、大量仕入れなどでコストを抑えられていることが多いため、まずは標準仕様の中から選ぶことを検討しましょう。
・本当に必要なものだけグレードアップ: 食洗機は譲れない、お風呂は広々したい、など、自分にとって「本当にこだわりたい」部分にだけ予算を集中させましょう。
・自分でできることはDIY: 照明器具やカーテンレール、一部の棚などは、引き渡し後に自分で購入・設置することで、費用を抑えることができます。

2.5 収納計画の徹底

収納が不足すると、物が散乱し、家が狭く感じられるだけでなく、後から収納家具を購入する必要が出てきて、余計な出費がかさみます。

・適材適所の収納: 各部屋やLDK、玄関など、必要な場所に適切な量の収納スペースを確保しましょう。
・デッドスペースの活用: 階段下、床下、壁のニッチ、ロフトなど、あらゆるデッドスペースを収納として活用することで、居住空間を広く保てます。
・ウォークインクローゼットやファミリークローゼット: 複数の部屋の収納をまとめることで、通路部分が減り、効率的な収納が可能です。

2.6 信頼できるハウスメーカー・工務店選び

これが最も重要なポイントと言えるかもしれません。

・複数社から見積もりを取る: 複数の会社に同じ要望を伝え、見積もりを比較することで、価格の相場や各社の得意分野、対応の質などを把握できます。
・契約前に見積もりの内訳を詳細に確認する: 坪単価に含まれるもの、含まれないものを明確にし、追加費用が発生しそうな項目を具体的に確認しましょう。
・アフターサービスと保証体制: 建てた後のメンテナンスや保証体制がしっかりしているかを確認しましょう。長期的な安心感とコスト削減に繋がります。
・担当者との相性: 家づくりは長期にわたる共同作業です。疑問や不安を気軽に相談できる、信頼できる担当者を見つけることが大切です。

第3章:後悔しないための心構え

最後に、家づくりで後悔しないための心構えをお伝えします。

3.1 優先順位を明確にする

予算には限りがあります。全ての要望を叶えることは難しい場合が多いです。 「これだけは譲れない」という絶対条件と、「できれば欲しい」という希望、「なくてもいい」という項目に分け、優先順位を明確にしましょう。

3.2 情報収集を徹底する

SNSやブログ、住宅雑誌など、あらゆる情報源から家づくりの知識を深めましょう。実際に家を建てた人の体験談や、住宅のプロの意見も参考にしてください。 モデルハウス見学だけでなく、完成見学会など、実際に生活できる状態の家を見ることも非常に参考になります。

3.3 目先の安さにとらわれない

「坪単価が異常に安い」「あり得ないくらい値引きしてくれる」といった話には注意が必要です。目先の安さにとらわれず、建物の品質や性能、アフターサービス、そして何より「トータルコスト」で判断する冷静さを持ちましょう。

3.4 専門家の意見を鵜呑みにしない、でも耳を傾ける

プロの意見は非常に参考になりますが、全てを鵜呑みにするのではなく、疑問に感じたことは納得いくまで質問し、自分の考えを伝えましょう。一方で、専門家ならではの知識や経験からくるアドバイスには素直に耳を傾ける姿勢も大切です。

まとめ

本当に「良い家」を安く建てるためには、坪単価という数字に惑わされず、以下のポイントを意識することが重要です。

・総額予算を明確にし、そこにすべての費用を含める
・断熱・気密性能や耐久性など、家の基本性能に初期投資を惜しまない
・シンプルなデザインと間取りで建築コストを抑える
・設備の選び方にメリハリをつける
・徹底した収納計画で無駄をなくす
・信頼できるハウスメーカー・工務店を選び、綿密な打ち合わせを行う

家は一生に一度の大きな買い物です。後悔のない、そして本当に「良い家」を建てるために、この記事があなたの家づくりのお役に立てれば幸いです。焦らず、楽しみながら、理想のマイホームを実現してください。